懐石料理と先生の点てたお濃茶を、社中の皆で頂く新年のお茶席「初釜」。今年は娘の受験で出られない。お楽しみの一つに、干支のお扇子を使ったくじ引きがある。「水仙」「福寿草」等、花の名前の札が入っていたらお茶道具がもらえる。
くじ運のない私も、過去に一度当たったことがある。その年は肺炎で自宅静養、実父の死と立て続けに起こり、2月終わりになってお稽古に出た。1個だけ残った扇子を開くと、花の名前ではなく「当たり」の札が飛び出した。いつも完璧な先生のミスに思わず吹き出した。お雛様柄の棗は、私が欲しがっていた物だった。
もしかしたら先生は、どの季節に復帰してもいいように、敢えて花の名前にしなかったのかもしれない。