現在発売中の建築雑誌コンフォルトに、昨年10月に行われたDESINART TOKYO 2020のイベントレビューを書いています。
国境や年代や地位を軽々と超えて、建築家達がアイデアを出しあった「笑顔になるソーシャルディスタンスのベンチ」この短期間にアイデアを集め、勝敗を競うのではなくグループ分けしてブラッシュアップして、国産杉で完成度の高い試作を展示した、気持ちのいいラピッドプロタイピングの取り組み。実際座ると楽しかったのも印象に残ってます。
自粛期間中の手仕事の編み物を公募して、アートに仕立て上げた取り組み。インターネットに取り残されがちな層にも優しく、アートとして完成度が高く敬意が払われていて豊かな気持ちに。
プレスリリースで大きく取り上げられるも、よく分からないで見に行ったら圧倒されたモノの力。現代の古田織部のような取り組みが楽しみ。
大樋焼の現代アートが、家具から生えているように展示されていて圧倒的に美しかった。
雑誌掲載できなかったけれど気になったものをピックアップしてご紹介
雑誌に掲載できなかった方々の中にも、今は私の力不足で理解には至らないけれど気になるものが沢山ありました。実はそういう展示やアイデアや人に偶然出会えることこそが、リアルの醍醐味。何年か経って、過去に引っかかっていたものがフックになって深い理解に繋がることが多くあります
ないのにある、あるのにない。謎々みたいな展示で、見えないものに実は動かされてる現代社会のことなのかしら?それを作るってすごいな。ドラムの部品を捩って細かい手仕事で仕上げたオブジェは、少しの風でボヨンボヨンしてユーモラスでした。
デザイン志向の食べ物展。今をときめくパティシエやクリエイターの授業を受けた大学生生たちが、自分達で工夫して開発したメニューをアウトプットする取り組み。「都こんぶ」みたいな見た目のカレーや、「口内調理」するカルボナーラなどが美しく展示されてました。コロナ禍で人前で物を口にするという緊張感もありましたが、同じものを知らない人と食べて感想を言う楽しみがありました。
リアルなデザインイベントがないと、今はまだ無名のポテンシャルのあるクリエイターにはチャンスが減ってしまいます。そもそも検索してもらえないし、写真映えしない作品にある可能性を世の中に提示するきっかけも失います。
イベント発起人・青木昭夫氏のコメントから一部抜粋して締めくくらせてもらいます。
「何に遭遇するかわからないクリエイティブの多様性をお楽しみいただけるのがこのイベントの醍醐味。観た人の心の原動力になるきっかけにしたいと考えたのです。」
是非手にとって、ご覧くださいませ。