インテリアエディターD の「大人のための家具選び」vol.100
北欧ヴィンテージ家具の名店「ルカスカンジナビア」に学ぶ!インテリアコーデ例&良質アイテムの見分け方
本物の家具がもつ魅力を知る!銀座で楽しむ一期一会のひととき
銀座に行ったら時間の許す限り必ず立ち寄るのが、北欧ヴィンテージ家具を取り扱う「ルカスカンジナビア」。
美術館級の状態のいい家具に絵画や小物類、生けられた季節の枝物や室内の香りも心地よく、訪れるだけで感性が磨かれるお店です。
さらに美しいヴィンテージ家具にふさわしい寝心地のマットレスなど、スウェーデンの老舗ベッドメーカー「デュクシアーナ」の取り扱いもあり、カシミアのスローと合わせた美しいベッドメイキングなど、ファブリック好きにはたまりません。
往年の名作家具と暮らす「憧れ」を叶えるには、まず知ることが第一歩。
すぐには買う予定がなくても、見て触れて座ったり寝たりと贅沢な実体験を通して本物の家具がもつ魅力を体感することができます。
なんといってもヴィンテージ家具は一期一会! 行くたびにアイテムが変わり、店内のしつらえも変わる、まるでお茶室のような存在のインテリアショップです。
家具の魅力を最大限に引き出す多彩なコーディネート
「ルカスカンジナビア」で扱っているアイテムは全て一点ものなのでその都度内容は変わりますが、企画展が行われているとき以外は家の中のキッチンや水回りを除いた全てのシーンが揃っています。
実はデンマークの家具にはコンパクトなものが多く、日本の住宅事情にも合わせやすいという特徴があるため、現実味のある心地よいコーナー作りも見どころです。
目利きに学ぶ、ヴィンテージ家具選びのポイントとは?
本物の家具がもつ魅力を体感できる「ルカスカンジナビア」の”家具選びの基準“とはどんなものなのでしょうか? 代表の輿石さんに聞いてみました。
「仕入れる時はほとんど秒単位ですね。心が動くかどうか。それがどういう状態でどういう材質で何なのかというのは後から調べます」と知識と経験値から成せる目利きらしいご回答。
瞬時に判断できるようになったきっかけは「デンマーク大使館からの家具の買取り依頼」とのこと。
当時20代だった輿石さんは一流品に触れる機会を得て「特別な人の特別なオーダーのために作られた、特別によい材を使って手仕事で仕上げられた家具」の魅力を体験し、それがスタンダードになってしまったのだとか。
「今までにたくさん『ジェイエルモラー(デンマークの老舗家具工房)』の椅子を扱ってきましたが、最高のものを最初に見てしまいました」と笑う輿石さん。
本物を知ることが一番の勉強になるというのは、どの道でも共通しているのですね!
とはいえ、もう少し詳しく知りたいところ。個々の家具ではどんな点に注目しているのかについて、2つのポイントも教えていただきました。
■注目ポイント1:素材や木目のよさ
「具体的に言うと素材とか木目のよさは気にしています。チークにしてもマホガニーにしても原産国で採れた個性が表れているものに魅力を感じます」(輿石さん)
例えば、下の写真のセンターテーブルの周りの額縁仕上げになっている木部にご注目ください。
ブラジリアンローズウッド(現在はワシントン条約により伐採不可の材)の特徴がよく現れた木目が、“ブックマッチ”で仕上げられているので違和感なく収まり、静謐な自然の美しさを備えています。
ブックマッチとは、丸太を切って本を開くように左右対称に配置することをといいます。
■注目ポイント2:”作行(さくゆき)”のよさ
「名作かそうでないかよりも、その作品がどういうコンセプトで作られたのかという “作行”を重視しています」(輿石さん)
“作行”とは“作意気”とも書き、通常は陶磁器を鑑賞するときに使います。作者の個性・くせ、作品の気品などを含めてその器物の出来栄えを表す言葉なのですが、手仕事で仕上げるデンマーク家具にも使えるとは新鮮な驚きと腹落ち感がありますよね。
家具でいうと「端部の仕上げ」や「面の取り方」などに表れ、空間での家具の佇まいのあり様を左右します。「ルカスカンジナビア」は、北欧ヴィンテージ家具店のなかでも繊細で優しげなセレクトが特徴です。
ヴィンテージ家具は、誰から買うかによって大きく変わる!
ヴィンテージ家具の魅力のひとつに美しい経年変化があります。時を経てよく触れられていた箇所が飴色に変化した木部や生活でついた小傷等、どこまで残してどのようにきれいにするか?
研磨や仕上げのセンス1つで家具の価値を上げることも下げてしまうこともあります。
ヴィンテージのものは、同じデザインの椅子でも現行のものとメーカーが異なっていたり、現在は採れない木材を用いていたりするなど、知れば知るほど奥深い魅力があります。
詳しい方の説明を受けると満足度も高く、愛着も増します。その点で誰から買うかがとても重要になってきます。
また、買った後のことも気になりますよね。「ルカスカンジナビア」は独自の職人さんとのネットワークがあり、ヴィンテージ家具のメンテナンスに長けています。
たとえばダイニングコーナーに用いられている籐編みやウェグナーが好んだペーパーコード、木部の不具合などにも、国内でそれぞれの家具の”作行”にふさわしい内容の対応をしてもらえます。
「北欧のように日本でももう少し気軽に買い替えられるような文化が整ったらいいなとも思っています。
好きで買って大切に使っていたけれど、ちょっとしんどいなとなったときには価格を落とさず買い替えられるといいですよね」と、輿石さん。
言われてみると、北欧に行くとヴィンテージのオークションが盛んに行われており相場で取り引きされています。
自分で直して使うという姿勢や状態の良し悪しを見分けられる知識が下支えにはなると思いますが、信頼できるヴィンテージショップと付き合いを深めていくことで実現可能な、環境にも優しい取り組みになるかもしれませんね。
今回は、東京・銀座の北欧ヴィンテージ家具店「ルカスカンジナビア」をご紹介しました。一度訪れただけでは全容がまったくわからないのがヴィンテージ家具店の面白さです。ぜひ気軽に何度も足を運びながら、本物のよさを体感してみてくださいね。
次回は「ルカスカンジナビア」で出合った『ジェットソン』で変わった暮らしの風景や、インテリアのムードをあげるカラーのお話をしたいと思います。
問い合わせ先
- Luca Scandinavia
営業時間/12:00~18:00
定休日/水曜
TEL:03-3535-3235 - 住所/東京都中央区銀座1-9-6 1F・3F