yokodobashi.com

【子どもがノビノビ伸びて、大人も楽しく暮らせるモンテインテリア_Vol.2】 同じインテリアにいても、子どもが見ているものと大人が見ているものは全く違うという事実

我が家の大学生の息子と、高校生の娘はひょんなことがきかっけでモンテッソーリ教育の幼稚園に通いました。洗足池のほとりに建つ現在は「勝海舟記念館」となっている、ネオゴシック様式の洋館「鳳凰閣」。この建物への興味がモンテッソーリ教育を知るきっかけのひとつでした。公園で面白い遊びをしている体操服を来た園児に、この建物が幼稚園だと教えてもらった私は、自分の子どもを“だし”にして建物見学できる♪くらいに考えていたわけです。

こんな空間の作り方って初めて見た!

初めて中に入った時の衝撃は、今でも覚えています。名前やイラストのシールの貼られた下駄箱で靴をスリッパに履き替え、一部がガラスになったレトロで大きな木製扉を開けると高さ1000mmくらいのロッカーの並ぶ、幅1500mm程度の廊下があり、ロッカーの上から教室の様子が見えました。

廊下を90度曲がると天井高4000mm 弱の大空間が広がります。オレンジ色のレトロフューチャーなシェードの照明がぶら下げられ、蛍光灯も設置されていました。奥には「蔵」のような分厚い壁の向こうにつづく別の空間が見えました。

職業柄、自分の体をメジャーのようにして常日頃から寸法を無意識に測るわけですが10年以上の記憶だしなぁ、と思い調べてみたら図面が出ていました。(平面図の長方形二つの左が「蔵の手前の部屋」。右側が「蔵の奥の部屋」。)

https://www.cst.nihon-u.ac.jp/research/gakujutu/55/pdf/I-4.pdf より

4つのゾーンに分かれた「蔵の手前の部屋」

「蔵の手前の部屋」は4つのゾーンに分かれていました。

「メインフロア」のような大空間は迷路のように高さ800mm程度の棚やコーヒーテーブル程度の高さ450〜500mmの机で緩やかに仕切られていました。教室入って右側の壁には子ども用の小さな椅子がスタッキングされています。木製の棚に綺麗に並んだお盆とその上の玩具セットのようなもの。それを机に運ぶ幼児や、絨毯を広げてからお盆を持っていく幼児や、何もしないでぶらぶらしてるだけの幼児もいる…子どもたちが自分で選んだ活動をしていてとても静かなのに活気にあふれている、不思議な風景が広がっていました。

その横に600mm程度の高さの「洗面所とキッチン」のあるオレンジの花柄のレトロなタイルの部屋。小さな雑巾がぴっちり干されていました。

キッチンの一角が「床の間のある三畳の和室」。アイロンをかけている幼児がいました(!)

和室の奥を曲がると「図書室」。宇宙について表した巨大な作品が壁に貼られ、分厚い図鑑を床で集まって読んでいる幼児達がいました(!)

なぞのトラックが床に描かれ、ひらがな一覧と真珠のネックレスが大量にかけられた壁のある「蔵の奥の部屋」

蔵の奥の部屋は、壁にサンドペーパーのようなものでできた大きな「ひらがな一覧」と大量の「真珠のネックレス」(後に「金ビーズ」という算数教具、と知る)がかけられ、床には直線と半円をつなげた形のトラックがテープで描かれていました。手前の部屋より少し天井が低くなっていたような気がします。

「空間を仕切ると、子どもはちゃんとするの?」

子どもの目線から見たら迷路のように区切られているとしか思えない空間を、小さな子ども達が「全部把握している」様子で自分のペースで動き、2、3人いる先生は何かを教えているけれども、それ以外の子ども達はお互い教えあっていたり「これやろう!」など言ったりしている、という…

インテリアを楽しむ目線で訪れたのに、帰る頃には「空間と子どもの心」にはなにか関連があるのだろうか???と、「?」マークでいっぱいになっていました。

レトロ建築の耐震について保護者の中で話題になり、園舎が環七沿いのビルに引っ越すことに!

洗足池のほとりの自然いっぱいのレトロ建築で3年過ごした息子と1年弱過ごした娘。2010年4月からは、環七沿いのビルに新しい園舎が開かれることになります。そのビルを初めてみた時は雨でした。

「こんなところ(=可愛くないビル)に通わせられない。うちは転園する」と私。

その時にママ友が言った一言が忘れられません。

「なぜ、あなたが決めるの?通うのは子ども達。子ども達が見て決めることでしょう?」と。

同じ時計のかたち(決まった時刻)に、お隣のピンポンを押して、同じ道順で祠にお参りをしてお供えをしてからしか幼稚園に行かない、こだわりの強い息子が受け入れるはずもない!!!

と、思っていたのですが…

「先生とお友達が変わらなくて幼稚園が変わらないなら、電車に毎日乗れるしイイよ。」と、息子。

「お兄ちゃんと一緒におちえん(幼稚園)いく。」と、娘。

・・・幼稚園が変わらない、とは?いかに???

子どもから見たら幼稚園は「なにも変わっていなかった」

新園舎公開日の日に子どもが決めればいい、そう思って迎えた見学会の日。

「前と何も変わっていないね。」と、息子に話しかける仲良しのY君の発言に驚く間も無く

「そうだね!」

と、安心した様子の息子。

私もY君ママも「全然ちがうよね」と思いましたが、

子どもの目からみた幼稚園は「変わっていない」という発言が他の子からも聞かれました。

5歳の娘 子どもの目線で見ると、確かにかつての「蔵の奥の部屋」と全く同じ風景!

子どもには「ゾーニング」と「秩序感」が大事

旧園舎から持ってきた棚もありますが新しい棚も増え、空間の形が変わった配置も変わり、綺麗になった園舎。

ただ、変わらなかったのは明確な「活動ごとの『ゾーニング』」と「秩序」。

ここに来れば図鑑がある。ここに来れば金ビーズや算数のものがある。ここはキッチンだ。

また、モンテッソーリの棚は同じ活動内容であれば、右に行くほど下の段にいくほど難易度が上がるように配置するルールがあります。

「子どもの家」の保育室内の様子を360°見渡せるVRサービスがあるので、ぜひ体験してみてくださいね!子どもたちが使うモンテッソーリ教具の簡単な解説等もご覧いただけます。

[`evernote` not found]
このエントリーをはてなブックマークに追加